先週、協力会社から届いた鉄骨の納まり検討モデルをRhinoで受け取り、Grasshopperで柱梁の取り合いをパラメトリックに振り直した。手戻りが1週間分は消えた気がする。Rhino/Grasshopperまわりの話題は、ここ数週間で「生成AI」「Revit連携」「入門セミナー」と幅が広がってきた。今週目についた記事を、社内BIM推進の目線で整理しておきます。
今週のGrasshopper関連トピック
生成AIとGrasshopper的思考の接続
Vibe Modeling vol.04|Fable 5で生成したエリア開発の記録|KOBATAKAでは、Fable 5に「朝までに水辺の複合キャンパスを育てておいて」と指示して寝たら、朝には美術館・ホール・水上パビリオンが立ち上がっていた、という記録が紹介されていた。半日で12棟規模のエリア開発案まで育ったという。
ここで面白いのは、生成AIが吐き出した形状をそのまま使うのではなく、Grasshopper的な「関係性の記述」でボリュームを操作していく発想が下敷きにある点。生成AIが与えるのはボリュームスタディの初動で、そこから先の敷地条件・法規・構造グリッドへの落とし込みは、結局パラメトリックなロジックがないと使い物にならない。
Rhino.Inside RevitとGrasshopperの実装解説
Rhino.Inside Revitの使い方|初心者向けに導入方法・Grasshopper連携を解説(株式会社キャパ)は、実務直結の話。RevitのファミリをGrasshopperから直接生成・編集できるので、外装パネルの割付やスラブ段差の一括処理あたりは、Dynamoで組むより速い場面が多い。うちでも一部プロジェクトで試験導入していて、Revit側のパフォーマンス低下との付き合い方が悩みどころ。
入門層の拡大と「BIMとの違い」への関心
超入門 Rhinoceros・Grasshopperの概要とその魅力 ~BIMとの違いやメリット・デメリット~のような入門アーカイブ配信の告知が出てきていること自体、社内展開を考えると追い風。RhinoはBIMではない、という当たり前の整理を、意匠・構造・施工の担当者にどう伝えるかは、社内標準化の初手で必ず躓くところ。
運用面の生々しい話
Which Rhino File Goes With Which Grasshopper File?は「どのRhinoファイルとどのGrasshopperファイルが対になっているのか、たまにルーレット状態」という愚痴に近い記事。笑い事ではなくて、うちの現場でも「_final_v3_修正後.gh」問題は日常的に起きてる。ファイル参照の管理は、個人スキルではなく組織のルールで縛らないと崩壊する。
ゼネコンBIM担当としての考察
今週の話題を並べて感じたのは、Grasshopperが「意匠のかっこいい形をつくる道具」から「BIMワークフローの隙間を埋める接着剤」に位置が変わってきている、ということ。Rhino.Inside RevitでRevitの弱点を補い、生成AIで初期スタディを速める。この二方向の橋渡しをGrasshopperがやっている感覚があります。
社内標準化の観点で気になるのは3点。
- 積算との数量突合で、Grasshopperで生成したジオメトリの数量根拠をどう説明するか。パラメータを触ればコストが動くので、意匠が勝手に回し始めると積算部門が悲鳴を上げる。ロック機構と履歴管理を先に決めたい。
- 協力会社との受け渡し。鉄骨ファブや外装メーカーはTeklaやInventorが主戦場で、Grasshopperの.ghファイルを渡しても開けない。IFCやSTEPで書き出す前提の定義をテンプレ化しないと属人化する。
- 発注者への説明責任。パラメトリックで案を100個出せます、と言っても、発注者が知りたいのは「なぜこの案なのか」。生成AI×Grasshopperの組み合わせは、判断根拠を残す仕掛けとセットでないと逆効果になりそう、というのが個人的な予感です。
導入ハードルとしては、ライセンス費用より社内の「読める人」不足のほうが深刻。Dynamoは触れてもGrasshopperは触ったことがない、という設計部員がまだ多く、入門アーカイブ配信のような素材を社内勉強会で使い回すのが現実的な一歩かなと思ってます。
まとめ
今週のニュースを通して、Grasshopperは道具として派手さより「つなぐ役割」に寄ってきた。生成AIの下流、Revitの隣、協力会社との境界。うちの一貫BIM構想でも、真ん中に置くべきはRevitだけど、隙間を縫うのはGrasshopperになる気がしている。まずは来月、外装パネル割付のテンプレを1本、社内配布できる形に仕上げたい。地味だけど、そこからしか始まらない。