先週、社内の意匠設計者から「Rhinoで検討したファサードのパネル割付、Revitに落とすときに情報が半分死ぬんだけど何とかならない?」と相談された。うちのような中堅ゼネコンで一貫BIMを掲げていても、Rhino/Grasshopperの表現力に頼る場面は確実に増えていて、「BIMの外」で作られたデータをどう本流に合流させるかは日常的な悩みになっています。今週のRhino関連ニュースを眺めていたら、この悩みに直結する話題がいくつかあったので整理しておきます。
今週のRhino関連トピック
Blendkitがついに Rhino に対応
Blendkit – 大量の3Dアセットを利用できるサービスがBlender以外へ対応!Maya・Godot・Rhino向け無料プラグインがリリース!によると、Blender向けだった3DアセットライブラリBlendkitが、Maya・Godot・Rhinoにも対応するプラットフォームへ拡張されました。モデル・マテリアル・HDRI・ブラシ・シーンといった数千点のアセットを、Rhino内から直接検索・ダウンロードして使える形になります。
意匠検討やプレゼン用のビジュアライズで、家具・植栽・車両などのアセットをネットから拾ってきて手作業でインポートしていた工程が、そのままRhino内で完結する。地味だけど作業時間の削減効果は大きいと感じます。
Vibe Modelingが示す「生成AI × Rhino」の距離感
Vibe Modeling vol.04|Fable 5で生成したエリア開発の記録は、寝ている間にAIに「水辺の複合キャンパスを育てておいて」と依頼し、朝には美術館・ホール・水上パビリオンが並ぶ状態で目覚めた、という記録。半日で12棟規模のエリア開発構想までスケールしたそうです。
Fable 5のような生成AIが吐き出すジオメトリの受け皿として、Rhinoが選ばれているのは象徴的だと思ってます。RevitのようにカテゴリやパラメータでガチガチにしないRhinoだからこそ、AI生成物を一旦受け止めて、そこから設計者が手を入れられる。初期検討フェーズの主戦場がRhinoに寄っていく流れは、当面続きそうです。
Rhino/Grasshopperの入門セミナー
超入門 Rhinoceros・Grasshopperの概要とその魅力 ~BIMとの違いやメリット・デメリット~のアーカイブ配信が案内されています。タイトルに「BIMとの違い」が入っているあたり、受講者側も「Revit/ArchicadとRhinoをどう使い分けるか」を気にしているのが読み取れます。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
うちで一貫BIMを推す立場からすると、Rhinoは正直「扱いに困るツール」でした。意匠がRhinoで作った複雑形状を、施工図BIMや数量拾いに繋げようとすると、面情報しか渡ってこず、属性を付け直す手戻りが発生する。協力会社に展開する時点で「これはRevit化した後のモデルを正としてください」と但し書きを付けるのが常態化しています。
今回のBlendkit対応で少し景色が変わるかもしれない、と思っているのは、Rhino側で完結する作業領域が広がることで、逆に「Rhinoで止めておくべきデータ」と「BIM本流に流し込むデータ」の線引きがはっきりしてくる、という点です。プレゼン用アセットや初期スタディはRhino内で閉じて、意思決定が済んだ形状だけをRevitに渡す。この分業を社内標準にできれば、無理に全部をIFCで往復させるより現実的だと感じています。
Vibe Modelingの話は、正直まだ現場で使う姿は想像しきれていません。ただ、発注者から「初期の街区スタディを1週間で3案出して」と言われた時に、Rhino+生成AIで叩き台を量産して、そこから設計者が選別する運用は、うちの規模でも試す価値がありそう。個人の予想ですが、1〜2年以内にプロポ案件の初期提案で当たり前になっている気がします。
ハードルは相変わらず人材で、GrasshopperをまともにいじれるメンバーがBIM推進室に2〜3人しかいません。入門セミナーの案内が流れていること自体、業界全体が同じ状況ということでしょう。社内で薄く広く教えるより、意匠部と連携できる「翻訳者」を数人育てる方が費用対効果は高い、と個人的には思ってます。
総括
Rhinoは一貫BIMの中心には来ない。ただ、初期スタディと意匠検討の入り口としての存在感は今週の記事を見る限り増す一方です。うちの現場でやるべきは、Rhinoを本流に組み込むことではなく、Rhinoで作ったものを痛みなくBIMに渡す作法を社内で決めきること。来月の標準化会議で、この線引きの叩き台を持っていこうと思ってます。