今週、社内の若手設計者から「新人研修、まだAutoCAD中心でいいんですかね?」と相談されました。うちは一貫BIMの標準化を進めている最中で、2D CADの位置づけをどう説明するかは、地味だけど毎回悩みます。今週流れてきたAutoCAD関連の記事を眺めていて、この問いに答えるヒントがいくつかあったので整理しておきます。
今週のAutoCAD関連トピック
1. 依然として「AutoCAD入門」の需要が世界的に強い
Mediumには今週だけで、AutoCADの学習講座や研修コースを紹介する記事が複数上がっていました。Top Benefits of Learning AutoCAD at Edu CADD Ameerpet、Learn AutoCAD and Build Your Career in CAD Design、Benefits of Choosing the Best AutoCAD Training Course to Improve Your Design Skillsと、いずれも建築・機械・製造で使える汎用スキルとしてAutoCADを位置づけています。
BIMの話ばかり追っていると忘れがちですが、世界的にはまだ「2D図面が読めて描ける」ことがキャリアの入口として扱われています。うちの協力会社に図面を渡すときも、結局はDWGでのやり取りが多い。この現実は当分変わらないと思ってます。
2. 建築学生への訴求は明確にRevitへ
Why Revit Is Becoming Essential for Architecture Studentsと、同じ著者による同タイトルの導入編が同日に投稿されていました。学習系の発信者が「建築学生にはRevit必須」というメッセージを重ねて出している。AutoCADの記事群と並べて読むと、教育市場では2Dは実務スキル、3D/BIMは設計思考の土台、という棲み分けが進んでいる印象です。
3. AI導入は「Copilot前提」に進みつつある
建築業界でAI活用推進を2年やってみて|2026年に必要な意識改革は、設計事務所で2年AI推進をやってきた著者が「Microsoft 365 Copilotが必須」と踏み込んで書いていました。AutoCADそのものの話ではないですが、CAD/BIMの周辺業務、議事録・仕様書・打合せ資料が生成AIに寄っていく流れは、AutoCADユーザーの日常にも直接効いてきます。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
この4つを並べて感じるのは、AutoCADを「置き換える対象」として語る時期はもう終わったのかもしれない、ということです。少なくとも施工側では。
うちの現場で言うと、鉄骨ファブや設備の協力会社から返ってくる施工図はほぼDWGです。Revitモデルを配っても、加工帳や施工検討はAutoCADベースで戻ってくる。これを「BIM化が遅れている」と嘆くより、DWGとRRevitモデルを往復させる運用を標準化した方が早い。具体的には、Revitからのビューを名前付けルール付きでDWG書き出しし、協力会社の朱書きをそのままモデル側に反映する手順を、社内テンプレとして整備中です。ここが一貫BIMの「継ぎ目」で、一番泥臭い。
標準化への活かし方としては、新人教育のカリキュラムを見直したいと思ってます。今までは「まずAutoCADで作図、慣れたらRevit」でしたが、Medium側の発信を見ていると海外は逆の順序を推している。うちも、Revitで空間と部材を先に触らせてからDWG出力で2D作図の考え方を覚える順にした方が、モデル起点の思考が身につくんじゃないかと。まだ試せていないので、来期の新人研修で小さく実験してみるつもりです。
導入ハードルは相変わらず、積算と発注者対応です。積算部隊はDWGと数量拾いソフトの組み合わせで回っていて、Revitの数量表を信用しきれていない。発注者側も、成果物として求めてくるのは製本図面。ここを一足飛びに変えられないので、当面はAutoCADを「BIMの出力端末」として扱う設計にしています。Copilot系のAIで仕様書チェックや図面照合が回せるようになると、この継ぎ目の工数が削れそうで、個人的に一番期待している領域です。
総括
AutoCADは無くならない、けれど主役でもない。今週の記事を通しで読んで、その距離感がはっきりしました。BIM推進担当としては、Revitを軸に据えつつ、AutoCADを協力会社との翻訳レイヤーとして丁寧に運用する。派手さはないけど、たぶんこれが一番効きます。来週の推進会議で、新人研修の順序入れ替えを提案してみます。