月曜の朝、協力会社から届いた設備モデルを開いて、また梁下のクリアランスで頭を抱えました。うちの標準テンプレートで作られていないから、カテゴリ分類も命名規則もバラバラ。こういう小さな摩擦が積み重なって、結局2Dで図面を刷り直して赤ペンで指摘、という原始的なやり方に戻ってしまう。今週のニュースを眺めていたら、この「なかなか進まない感じ」を裏付ける調査結果と、逆に一歩踏み込んだ標準化の動きが同時に出ていて、少し整理したくなりました。
今週気になった3本
認知度が8割で止まっている、という現実
BIM/CIMの認知度、2年前の調査と変わらず8割で頭打ちか – 日経クロステックによると、認知度は2年前とほぼ同じ8割で止まっているとのこと。個人的にはこの数字、驚きよりも「やっぱりそうか」という感想でした。認知しているけど自分の業務では使っていない層が相当数いる、というのが現場感覚に近い。設計部門と施工部門で温度差もあるし、協力会社まで含めるとさらに広がります。認知度を上げるフェーズは終わっていて、これからは「使うと何が楽になるか」を業務ごとに翻訳できるかどうかだと思ってます。
電気BIMの標準化を業界横断でやる動き
きんでん、関係企業との連携強化 電気BIM標準化と蓄電所事業推進 – 電波新聞デジタルは、電気設備側で標準化を関係企業まで巻き込んで進める話。設備BIMは配管や空調が先行しがちで、電気は盤とラックとケーブルラックくらいでモデル化が止まっている現場も多い。サブコン側が主導して標準を決めてくれると、ゼネコン側としては受け取るモデルの品質が揃うので、単純にありがたいです。連載・BIM未来図・三建設備工業(1)のように設備サブコン各社が発信を強めているのも同じ流れに見えます。
図面審査という現実解
オートデスク、「BIM 図面審査」特設サイトのコンテンツを拡充 – PR TIMESは、モデルから出した図面をどう審査プロセスに乗せるかの話題。日本の現場は結局「図面が正」で回っていて、モデルだけで確認申請や社内決裁が完結する世界にはまだ遠い。だからこそモデルと図面の整合を担保する仕組みが必要で、ここを地味に整えることが一貫BIMの前提条件になると感じてます。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
認知度8割で頭打ちという数字を、社内標準化の観点から読み直すと、伸びしろは「認知はしているが手が動いていない層」に対する具体的な業務接続にあると思ってます。うちの部署でも、意匠モデルは9割方Revitで作られているのに、積算はまだExcelに数量を手打ちしている現実がある。数量拾いのテンプレートをBIM側に組み込むだけで、拾い直しの工数が半分近く減ったケースがあって、こういう小さな成功事例を積算・工務・設備の各部署ごとに作っていくのが、認知度から実装率へ橋渡しする現実的なやり方だと感じてます。
電気BIMの標準化の話は、うちの立場だと「受け取る側の標準」をどう用意するかに直結します。サブコンごとにモデル粒度が違うと、統合モデルを組んだ時点で干渉チェックの信頼性が落ちる。発注時にLOD(詳細度)と命名規則、格納フォーマットまで指定するテンプレートを社内で整備できれば、協力会社側の負担も減らせるはず。まだ試せていないですが、電気サブコン主導の標準が業界で固まってくれると、うちが独自ルールを押し付けなくて済むので、動向はしっかり追いたい。
導入ハードルとして一番リアルなのは、発注者対応です。特に民間の建築主だと「BIMで納品してほしい」と言われても、何のLODで、誰が維持管理するのかまで詰まっていないことが多い。図面審査の仕組みが整ってくれば、モデルと図面の対応関係を明示できるので、発注者に「これがモデルから出した図面です、両方を成果物として渡します」と説明しやすくなる。地味だけど、ここが一貫BIMの入口だと思ってます。
総括
認知度は頭打ち、標準化は業界横断で少しずつ、審査プロセスも整いつつある。派手な話ではないけれど、今週のニュースを並べると、BIMは「知る」から「業務にはめ込む」フェーズに完全に移った感じがします。来週は積算部門と数量拾いテンプレの打ち合わせが入っているので、電気BIMの標準化ニュースを持っていって話のネタにしてみようと思ってます。地道な擦り合わせの繰り返しでしか、一貫BIMは進まない。