先週、協力会社から届いた図面を開いたら、拡張子は.dwgだった。社内ではRevitとArchicadで一貫BIMを進めているのに、いざ現場が動き出すと2D CADの図面が普通に飛んでくる。この温度差、うちだけじゃないと思う。今週のAutoCAD関連の記事を眺めていて、改めて「AutoCADはまだ現役どころか、生態系の中心に居座り続けている」と感じたので、気になった話題を整理しておきたい。
今週の気になった動き
DWGをブラウザで開く、が現実的になってきた
Building a Cloud DWG Web Viewer with cad-viewer and cad-html-plugin: Pre-rendering + Static Hostingでは、@mlightcad/cad-viewerとcad-html-pluginを使い、DWGを事前レンダリングして静的ホスティングでWeb配信する手法が紹介されていた。ACEXという独自パッケージ形式で複数ファイルを分割書き出しし、ブラウザ側で軽量に扱う発想だ。
Autodesk公式のViewerに頼らず、自前で完結するWeb DWGビューアが作れるという点が面白い。発注者への図面共有、協力会社との事前確認、社内の非CAD人材への周知など、いちいちAutoCAD LTを配らなくてよくなる可能性がある。
BIMはツール導入では終わらない、という当たり前の再確認
BIM as a Business Strategy: Why It’s More Than Just Design in 2026は、「ライセンス買って数人に3D研修してDX完了」と言い張るAEC企業への苦言から始まる。BIMを設計ツールではなく事業戦略として位置づけないと投資が回収できない、という主張。
耳が痛い。うちも「Revit導入=BIM推進」で止まりかけた時期があった。積算・工程・維持管理まで繋がなければ、単に3Dで描ける2D CADが増えただけになる。
土木・学生向けAutoCADコンテンツが今も伸びている
Civil Engineering AutoCAD: Skills Every Student Can BuildやBuild Practical Career Skills with MS Excel, AutoCAD and CMA Courses in Dubaiのように、学生・若手向けのAutoCAD入門コンテンツが2026年になっても新規で書かれ続けている。ドバイの職業教育ではExcel・AutoCAD・CMA(管理会計)が並列で「実務スキル」として扱われている。
「Revitが世界標準」なんて言うのは日本のBIM界隈の一部だけで、グローバルに見れば新人が最初に触るCADは今もAutoCADだ、という現実。
素材・リソース系の記事も相変わらず多い
Free Architecture CAD & SketchUp Resources for Architects and Interior Designersのような、CADブロックやSketchUpモデルの無料配布まとめも継続的に読まれている。地味だが、意匠検討の初期スピードに直結する話。
ちなみにOH3 全機能一覧|700種類以上のレイヤーとAI分析は地図・不動産・災害リスクのGIS的な機能紹介で、AutoCADそのものというよりは周辺の空間データ系。敷地調査の初動には使えそうだと感じた。
ゼネコンBIM担当として考えたこと
今週の記事を眺めて一番思ったのは、「一貫BIM」を旗印にAutoCADを社内から追い出そうとするアプローチは、たぶん間違っているということ。うちの現場でも、専門工事会社の8割はAutoCAD LT止まりで、RevitのモデルをDWGにエクスポートして渡すのが日常運用になっている。ここを無視して「全部Revitで来てください」と言っても、単価に跳ね返るだけだ。
だから当面の社内標準化は、Revit中心の一貫BIMを軸に据えつつ、DWG入出力のレイヤ命名・線種・尺度のルールを別冊で整備する方向で進めたい。特にWeb DWGビューアの話は、施主説明や協力会社レビューの場面で効きそうで、次のPoCで試したいと思ってる。ライセンス配布のハードルなく図面を見せられれば、鉄骨ファブや設備サブコンとの打ち合わせが一段軽くなるはず。
導入ハードルとしては、やはり教育コスト。Revit担当者がDWGルールも面倒見る体制だと結局属人化するので、AutoCAD側の標準管理を担う人を別に立てないと回らない、というのが個人的な読み。人が足りない、というオチではあるけれど。
まとめ
AutoCADは「レガシー」ではなく、BIMの周縁で今も一次データを支えている。一貫BIMを本気で回すなら、AutoCADを敵視するのではなく、DWGを介した外部との接続点として設計しなおす方が現実的だと思う。来週は自社のDWGテンプレートを久しぶりに開き直してみるつもり。