2026.09.08Archicad

Grasshopperは最適化エンジンとして化けるか──今週の記事から考えた

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今週、Grasshopper周辺で目を引いたのはメタヒューリスティクス関連の連載でした。Galapagosを触ったことがある人なら、あの「勝手に形が動いていく」感覚を思い出すはず。自分も入社2年目の頃、庇の角度を日射条件で最適化しようとしてGalapagosを回し、一晩置いて朝見たら局所解にハマっていた苦い記憶があります。今週の記事群は、まさにその先にある選択肢を整理してくれる内容でした。

今週のGrasshopper関連トピック

PSO・ACO・CMA-ESという選択肢

doiken_氏によるメタヒューリスティクス図鑑シリーズが3本続けて公開されました。粒子群最適化(PSO)─鳥の群れに学ぶ連続最適化①では、鳥や魚の群れの動きを模したPSOが10行程度で実装できる手軽さで紹介されています。続く蟻コロニー最適化(ACO)②は、フェロモンで経路を育てる仕組みでTSP(巡回セールスマン問題)のような組合せ最適化を解く手法。連続空間ではなく「経路を1本ずつ組む」タイプで、性格が違います。

そしてCMA-ES③は「探索する楕円を自分で学習する」という発想で、連続最適化のベンチマークで常に上位、ハイパーパラメータ調整や制御系でよく使われる本命だと書かれています。数式は多めですが、Galapagosの遺伝的アルゴリズムやAnnealingしか知らなかった人間にとっては、選択肢が一気に広がる内容でした。

Grasshopperという名前の他の話題

ちなみに今週のRSSにはGisborne(豪州)の芝刈りサービスの記事や、スイスのサッカークラブGrasshopper Club Zürichの試合速報も混じっていました。検索ノイズとして毎週ついてくるやつです。BIM文脈のGrasshopperを追うときは、この手のノイズ除去が地味に効きます。

ゼネコンBIM担当としての独自考察

既存業務への応用可能性

PSO・ACO・CMA-ESはPython実装で紹介されていますが、Grasshopper側から見ると、Rhino.Python や Hops 経由で外部ソルバーを呼ぶ構成が現実的だと思ってます。Galapagosは手軽な反面、連続変数が10個を超えたあたりから明らかに息切れするので、CMA-ESに置き換えるだけで、外装ルーバー角度・開口寸法・断熱厚みの同時最適化が現実解に届く可能性がある。

ACOのほうは、資材の運搬ルートや揚重計画のような組合せ問題にハマる気がします。うちの現場で仮設計画を組むとき、ゾーニングとクレーン旋回範囲の組合せを人力で試行錯誤している時間が結構あって、あれをGH上で解けたら面白い。まだ試せていないので、社内の勉強会ネタとして持っていく予定です。

社内標準化への活かし方

正直、最適化アルゴリズムを標準テンプレに組み込むのはハードルが高いです。設計担当が触るテンプレに突然CMA-ESが入っていても、「なぜその形になったのか」を発注者に説明できないと使えない。標準化するなら、アルゴリズムそのものではなく「目的関数の書き方」と「制約条件の入れ方」をテンプレ化するのが先だと感じてます。数式を書くのが苦手な人でも、日射量・見付面積・数量といった評価軸をドラッグで組み立てられる状態を作れれば、裏側のソルバーは差し替え可能になる。

導入ハードル

一番の壁は計算時間と、結果の説明責任です。CMA-ESで数千回評価を回す間、EnergyPlusやRadianceを毎回叩いていたら夜が明けます。サロゲートモデル(応答曲面)と組み合わせないと現場では回らないはず。あと、協力会社に「この形状はアルゴリズムが決めました」で通るわけがないので、最適化はあくまで叩き台生成、最終判断は人間、という運用ルールをセットで整備する必要があります。

総括

今週の3記事は、Grasshopperユーザーにとって「Galapagosの次」を考える良い教材になりました。CMA-ESをHops経由でGHに繋ぐ小さな試作を、来月の社内ハッカソンに出してみるつもりです。うまく動いたらまた書きます。動かなかったらそれはそれで書きます。

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