今週、社内の若手設計担当と話していて出た話題が「一級建築士って、結局どこで一番活きるんだろうね」というものでした。BIM推進の立場でモデルを触っていると、資格そのものより「誰が意思決定して、誰がハンコを押すか」の方が業務フローに効いてくる。そんな中、今週の一級建築士関連のニュースを追っていたら、規模と個人、両極の話が並んでいて面白かったので整理しておきます。
日建設計「一級建築士1000人」という規模感
一級建築士が1000人!日本最大の建築家集団「日建設計」の全貌 – TVerで扱われていたのが、日建設計の内部を追った番組です。一級建築士が1000人単位で在籍する組織って、感覚的にちょっと想像しづらい。うちの設計部でも一級建築士は当然多いですが、桁が違います。
気になったのは、この規模で意思決定と品質をどう揃えているのか、という点。1000人いれば作図の癖もモデリングの流儀も揃わないはずで、テンプレートやライブラリの管理は相当作り込まれているはず。BIM標準化を社内で回している身としては、番組の切り口が「著名建築家」寄りなのか「組織運営」寄りなのか、そこが見どころだと思ってます。
マンションのグレード低下という現場感覚
【検証】新築マンションのグレードがどんどん下がっているらしい – NewsPicksでは、「築20年のほうがつくりがしっかりしている」という声を取材しています。設計者・施工者どちら側からしても耳が痛い話です。
資材費も人件費も上がっている以上、同じ坪単価で同じスペックが作れないのは当たり前で、削るところが天井高だったり躯体だったり内装仕上げだったりする。一級建築士の職能として、どこを削ってどこを守るかを発注者に説明する仕事は、むしろ重くなってると感じます。この文脈で、モデルベースで比較検討を見せられるかは効いてくるはず。
設備施工の実務ノウハウという足元
設備施工の教科書は現役の設備所長がまとめている技術計算・図解のブログです。一級建築士の直接の話題ではないですが、設計と施工の間を埋める実務知として毎回参考になります。配線サイズ選定みたいな「図面に載らないけど現場が判断する」領域は、BIMの属性情報にどこまで乗せるかで揉める部分でもあります。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
1000人の設計組織と、ゼネコン設計部の距離
日建設計の話を見て思ったのは、うちのようなゼネコン設計部(数十〜百数十人規模)だと、標準化の粒度が違うということ。1000人組織は「全体最適のテンプレ」を作れる一方、うちは「案件ごとの応用力」で戦っている感覚があります。BIM標準を作るときも、ガチガチに固めすぎると設計担当が窮屈がるし、緩めすぎると協力会社に渡した瞬間に崩れる。この塩梅はどこも試行錯誤中だと思ってます。
「グレード低下」を可視化する道具としてのBIM
マンションのグレード話は、実は一貫BIMの説得材料になるかもしれない、と個人的には見てます。発注者に「今回はこの仕様でこの単価です」と説明するとき、モデル上で仕上げグレードや設備スペックを差し替えて即座に数量とコストの差分を見せられれば、削減の合意形成が早くなる。まだ社内で完全には回せてないけど、積算部門との数量突合が噛み合えば、営業段階から使える武器になりそうです。
資格者の判断をモデルにどう埋め込むか
設備施工のブログを読んでいて感じたのは、一級建築士や施工管理技士の「経験による判断」をBIMの属性やルールにどこまで落とし込めるかという問題。全部を自動化する必要はないと思っていて、判断のトリガー(例えば納まりがタイトな箇所へのフラグ)を出せるだけでもレビュー効率は上がります。ただ、協力会社側のモデル運用レベルがまだ揃っていない現場が多く、ここは正直、標準化以前の課題として残ってます。
総括
1000人規模の設計組織の話と、マンションのグレード低下、設備施工の実務知。今週の話題は「一級建築士」という肩書きの周辺で、規模・品質・現場判断がそれぞれ別方向から問われていた印象でした。BIM推進の立場だと、資格そのものよりも「その判断をどう見える形にして次工程に渡すか」が仕事の中心になっていく気がしてます。来週、うちの積算部と数量突合のミーティングがあるので、まずはグレード比較のモックを一つ作って持ち込んでみようと思ってます。