先週、社内の造成現場で協力会社の測量担当と話していたら、「ドローンで撮った写真を点群化するのに、まだ半日以上かかってる」と愚痴られました。BIM側から数量を出したいので早く欲しいのですが、SfM処理を人が張り付いて回している現実がある。今週の記事を眺めていると、まさにその工程を自動化する動きと、ドローンが飛ばせない場所を衛星で埋める動きが同時に出てきていて、地味に転換点だなと感じてます。
今週の3つの動き
東急建設ら3社、ドローン空撮から点群生成を自動化
東急建設ら3社/測量業務でドローンの空撮画像から3D点群データ生成を自動化が今週の一番刺さったニュースでした。空撮画像から3D点群を作る処理は、写真の枚数が数百枚単位になると人手のパラメータ調整と待ち時間が発生して、測量担当のボトルネックになりがちです。ここを自動化するとなると、現場で飛ばして戻ってきた日のうちに点群がBIM側に降りてくる運用が見えてきます。うちの土工現場でも、朝飛ばして夕方には出来形照査、みたいな回り方ができるとありがたい。
スカイマティクス「くみき」が衛星写真測量に対応
「くみき」が衛星写真測量に対応、ドローン飛行困難エリアも3D化と、PR TIMES側の発表が同時に出ていました。ドローンで飛ばせないエリア(空港周辺、山間部の一部、遠隔地)を衛星写真で補完する話で、i-Construction 2.0の文脈で語られています。ドローン単独ではなく「飛べない所は衛星、飛べる所はドローン」という切り分けが、プラットフォーム上で自然にできるようになりつつある。プラットフォーム側の思想として、くみきのフロントエンド募集でも「空間データ統合」を掲げているのが読み取れます。
海外測量事業者の日本参入
イタリア発ドローン測量企業が日本市場へ、TAKE OVER Integrated Surveyingが日本連携に意欲という記事もありました。海外プレイヤーが入ってくると価格も手法も揺れるので、発注者側の要求水準がじわじわ上がってくる可能性があります。
ゼネコンBIM担当としての考察
点群自動生成と衛星補完の話は、BIM推進の立場から見ると「測量成果をBIMの上流資産として扱える速度」が変わるという意味で大きい。今のうちの運用だと、造成の現況地形は測量成果のCADデータをBIMソフトに取り込んで、そこから土量を出しています。ここで点群が翌日には手元にある状態になると、設計変更が出たときの土量再計算のリードタイムが数日単位で縮む。積算部門との数量突合も、月次ではなく週次で回せるかもしれません。
ただ、社内標準化の観点では悩ましい点も多いです。点群のフォーマット(LAS/LAZ)、座標系(公共座標か現場座標か)、点密度の目安、Revit/Civil 3Dへの取り込み手順、このあたりを決めておかないと、現場ごとに違うやり方が生まれてしまう。今週の自動化ニュースを見て、まず社内の「点群受け入れ基準テンプレート」を書き直そうと思ってます。協力会社の測量業者に渡す発注仕様書に、点群密度と重なり率、GCPの配置ルールまで落とし込んでおかないと、自動化されても後工程で結局手戻る。
導入ハードルとしては、費用より人の問題が大きいと感じてます。うちの現場所長世代はまだ「測量は測量屋の仕事」という感覚で、BIM側で点群を扱うという発想が薄い。自動化されて安くなっても、それをBIMに繋いで数量や出来形に活かす担当が現場に居ないと宝の持ち腐れになる。BIM推進室から現場に人を貼り付けるか、若手の測量担当をBIM側で育てるか、そのあたりの人の設計を並行してやる必要があります。
衛星補完の話は、正直まだ試せていないので精度感が読めません。ただ、山間部の造成前調査や、着工前の広域現況把握には使えそうな気がしてます。ドローン飛行の許可申請に2週間かかる案件で、衛星で先に粗い3Dを取れるなら、初動の設計検討が早く回る。
まとめ
今週のニュースを並べてみると、ドローン測量は「単体の技術」から「BIMの上流データを供給する仕組みの一部」に位置づけが変わってきている。自動化と衛星補完で、測量成果が届く速度と守備範囲が広がる。あとはこっち側、つまりBIM担当が受け皿を用意できるかどうか。まずは点群受け入れテンプレの改訂と、造成案件1件で自動生成フローを試させてもらう相談を、来週の定例に持っていこうと思ってます。