今週、社内のBIM推進チームで一番話題になったのが「大林組がBIM図面審査対応の確認申請を複数案件で出した」というニュースでした。うちの会社でも「確認申請BIMって、いつから本気で準備すればいいんですか?」と設計部から質問が飛んでくるようになり、正直、他人事ではなくなってきたなと感じてます。
4月の大林組のリリース、6月のオートデスクによる特設サイト公開と、この数か月で情報が一気に揃ってきました。今週押さえておきたい動きを整理します。
今週のトピック
大林組が複数案件でBIM図面審査対応の確認申請を提出
4月17日付で、大林組がBIM図面審査に対応した確認申請を複数案件で提出したことが公表されました(大林組、BIM図面審査に対応した確認申請などを複数案件で提出、大林組、BIM図面審査対応の確認申請を提出(建設通信新聞Digital))。
「1件チャレンジしてみた」ではなく複数案件というのがポイントで、社内フロー・チェック体制・審査機関とのやり取りをある程度回せる状態まで持ってきているということだと受け取ってます。ここに追従できる準大手はどれくらいいるのか、正直まだ心もとない。
オートデスクが「BIM図面審査」特設サイトを公開
6月23日、オートデスクが「BIM図面審査」特設サイトを公開しました。制度対応から実務活用まで独自コンテンツを掲載する、と告知されています。
ベンダー主導でこの手のポータルが立ち上がったのは、現場に降ろす準備が整いつつあるサインだと個人的には見てます。Revitで作った図面をどう整えれば審査に耐えるのか、テンプレートやビューの切り方の指針がベンダー公式で出てくるなら、社内標準を作り直す手間がだいぶ減る。ここは注視していきたいところ。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
既存業務にどう乗せるか
確認申請BIMで一番現実味があるのは、意匠設計から申請図書を切り出す部分より、むしろ「設計変更が申請図と食い違わないようにする運用」だと思ってます。うちの現場でよくあるのが、実施設計後に構造の梁せいや設備のスリーブ位置が動いて、確認申請図と実施図がじわじわズレていくパターン。BIMモデルを一次情報にできれば、この不整合を潰す手間は減らせるはず。
ただし、これは意匠BIMだけの話ではなく、構造・設備モデルとの統合が前提になる。ここが甘いままBIM申請だけ先行させると、「モデルは正だが図面は別で作り直し」という二重管理に逆戻りします。うちも一度そこでコケた経験があるので、順序を間違えたくない。
社内標準化への活かし方
特設サイトのようなベンダー側の指針が出てきたタイミングは、社内テンプレートを見直すチャンスだと感じてます。今のうちの意匠テンプレは施工段階の情報付与を重視した作りになっていて、確認申請図として切り出すには余計なビューやパラメータが多すぎる。
- 申請用ビュー・シートセットを別系統で持つか、フィルタで切り替える運用にするか
- プロパティセット(IFC出力を想定した属性の持たせ方)を審査側の要求に合わせて整理
- 協力会社(構造事務所・設備サブコン)に渡すモデルの受け渡しルール
このあたりを、大林組が実案件で使っている運用が少しでも公開されると助かるんですが、そこまでは表に出てこないでしょうね。地道に自分たちで試すしかない。
導入ハードル
一番のハードルは、正直なところ審査機関側の対応差だと思ってます。首都圏の主要な指定確認検査機関と、地方案件で使う機関とで、BIM審査への慣れがまだかなり違う。発注者から「地方の物件でもBIM申請でやってくれ」と言われた瞬間に詰むリスクがあり、案件ごとに従来図面ルートと二本立てで進める覚悟が要る。ここのコスト増をどう社内で説明するかが、来期の悩みどころです。
総括
大林組の複数案件提出とオートデスクの特設サイト、この2つが揃った今、確認申請BIMは「いつかやる話」から「来年度の計画に載せる話」に変わったと思ってます。うちの規模感だと、まずは1件、審査機関と相談しながら小さめの案件で試す ― これを来期の目標に入れて上に提案するつもりです。走りながら整えるしかない領域なので、失敗も込みで経験値を貯めていきたい。