月曜の朝、社内BIMサポート窓口に「Revitの図枠管理どうにかならないか」という相談が入りました。図面リストをExcelで持ちたい、という現場の声。ちょうど今週のAutodesk関連ニュースを追っていたら、同じ悩みをAutoCADで解決するツールの記事が出ていて、少し笑ってしまいました。今週はAI寄りの派手な話題が多い一方、地味に効きそうな話も混じっていて、整理する価値があると感じたのでまとめておきます。
今週のAutodesk関連トピック
Design & Make Summit Japan 2026:データ基盤の話が中心
データをつなぎ、AI活用へ――オートデスクが示す設計/製造DXの未来像では、米Autodeskのビック・ベダンサム氏が基調講演で、AI時代の設計・製造にはデータ基盤が前提になると話しています。製造業向けの文脈ですが、建設側の一貫BIMも根っこは同じで、モデルと属性情報をどこに置き、誰が触れる状態にしておくかという設計思想が問われます。ACC(Autodesk Construction Cloud)を使い始めている身としては、AI活用の前段としてデータの持ち方を整理しろ、というメッセージとして受け取りました。
Flow Studioが3D空間で編集可能に、生成AI「Marble」も統合
映像系のニュースが立て続けに出ています。Autodeskの3D合成ツール「Flow Studio」が3Dワールド生成AI「Marble」に対応、そしてFlow Studio に「3D Editor + Canvas」を導入という2本。テキストや画像から3D空間を生成し、その中でカメラワークやオブジェクト配置を詰められる、という話です。ゲームや映像業界向けの色が濃いのですが、発注者向けのプレゼン動画や、施主説明用のウォークスルーを内製している部署にとっては視野に入る話だと思ってます。
AutoCAD図枠をExcelで一元管理するツール
AutoCAD のモデル空間の図枠を Excel で一元管理するツールは、モデル空間に図枠を並べて作図するスタイルに向けた実務ツールで、図番や工事名称の一括書き換え、PDF一括出力までExcel起点でできると書かれています。14日体験版あり。うちの土木・改修系の部門はまだAutoCADベースが残っているので、こういう地に足のついた道具の方が現場ウケしそう。
Mudbox開発終了
Mudbox 開発終了のニュースも入ってきました。理由が「2019以降大幅な機能強化が行われていないため」というもので、率直に言えばAutodeskが手を引くときのパターンです。建設業務で直接使う人は少ないと思いますが、製品ポートフォリオの取捨選択が加速している空気は感じます。3DS MaxやCivil 3Dなど、社内で使っているツールの立ち位置も定期的に確認しておいた方が安全かもしれません。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
Flow Studioの話は、正直言うと最初「うちには関係ない」と思って読み飛ばしかけました。ただ、施主提案の場面を思い返すと、Revitモデルからの動画書き出しに毎回2〜3日かかっていて、修正指示が来るとまた最初からやり直しになる、というのが実態です。3D空間内でカメラや配置を後から編集できるなら、そのやり直し時間が減る可能性はある。試せていないので断言はできませんが、意匠の初期提案フェーズと相性が良さそうと感じています。
Excel×AutoCAD図枠のツールは、社内標準化の観点でむしろ本命かもしれません。うちでは工事件名や図番の命名規則を統一する運動を進めているのですが、既存図面を一括で書き換える仕組みが弱く、結局手作業で協力会社にお願いすることになる。図面リストをExcelで持って一括反映できるなら、標準テンプレの更新運用がだいぶ楽になります。RevitではなくAutoCAD側の話なので、改修・仮設・土工の部門から先に入れる、という順序が現実的だと思ってます。
導入ハードルとして毎回ぶつかるのは、協力会社側のライセンスとスキル差です。Autodesk側がAIやクラウド寄りに舵を切るほど、末端の作業者との段差が広がる。社内で先進機能を追いかけつつ、協力会社に渡すデータはDWGやIFCといった枯れた形式に落とす、この二段構えは当面変わらないと感じています。
総括
今週のAutodeskは、AI・映像側の派手なアップデートと、Mudbox終了のような整理、そして現場実務を助ける地味なツールが同居する一週間でした。ゼネコンの一貫BIMという視点で拾うなら、Flow Studioの3D編集は施主提案の効率化候補、Excel図枠管理は標準化の実行手段、Design & Make Summitのメッセージはデータ基盤整備の後押し材料。来週、社内の意匠設計と施工計画の担当を捕まえて、Flow Studioの検証枠を取れるか相談してみます。派手なニュースほど、自分の現場に落として考えないと通り過ぎるだけなので。