先週、社内の若手向けにDynamoの勉強会を開いたら、参加者の半数が「サンプルグラフを動かした経験しかない」と答えました。ノードは並べたことがあるけど、業務で回してはいない。この温度感、たぶん多くのゼネコンで似た状況だと思ってます。そんな中、今週はDynamo関連で気になる記事がいくつか出ていたので、実務目線で拾っておきます。
Revit×Dynamo×Pythonでダッシュボードを作る試み
Building a Revit Status Dashboard with Dynamo and Pythonでは、Revit 2024を対象に、モデルのステータスをダッシュボード化する試作が紹介されています。Dynamoでモデル情報を抽出し、Pythonで整形、AI支援も交えた開発プロセスという構成。プロトタイプの段階なので機能面での完成度は追いかけていませんが、「BIMレポーティング」を軽量に立ち上げる発想は面白いです。
うちの現場でも、モデルの進捗を週次で報告するときにExcelへ手作業で書き出しているのが実情です。ワークセットごとの要素数、未配置のファミリ、ビュー数といった基本指標だけでも自動で吐き出せると、報告資料の作成時間はかなり減らせるはず。Dynamoでスクリプトを組んで、出力先をPower BIかスプレッドシートに寄せる、というのは現実的なラインだと思ってます。
「Dynamoをどれだけ使いこなせているか」という問いかけ
BIMBoss Consultantsから同じ週に2本、耳の痛い記事が出ています。
- BIM AUTOMATION:期待は「ワンクリックで完了」、現実は「500ノード・17エラー」という自嘲的な書き出し。
- Dynamo: How Much Are You Really Using?:Dynamoの機能のうち、実際にどれだけ触れているかを問い直す内容。
読んで思い出したのが、去年組んだ数量集計グラフです。最初は50ノードで済むはずが、条件分岐と例外処理を足しているうちに300ノードを超え、後任に引き継ぐときに「これは触りたくない」と正直に言われました。自動化の名のもとに、属人化した迷宮を作ってしまう問題は、たぶんどこの会社にもあります。ノード数を誇るのではなく、Python Scriptノードに寄せて可読性を上げる、あるいはPackage化してブラックボックスにする、といった整理が要ります。
セミナーアーカイブの無料配信
【建築BIM中級者~上級者向け】BIMモデルから設計図書のための情報を書き出す方法という案内も出ています。9/2開催のセミナー「Revitの方程式:Dynamo活用術」のアーカイブ無料配信。設計図書のための情報書き出しがテーマなので、図面連携で悩んでいる人には参考になりそうです。私も後で見ておくつもりです。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
今週の記事群を並べて感じたのは、Dynamoの話題が「新機能」より「使いこなし方」「保守性」に寄ってきていることです。ツール自体は成熟期に入っていて、社内でどう根付かせるかが次の論点になっている印象。
うちのような中堅ゼネコンで一貫BIMを掲げるとき、Dynamoの位置付けをどう定義するかが悩みどころです。設計部門はRevit標準機能で足りる場面が多く、施工段階になると干渉チェックや数量突合でDynamoの出番が増える。ただ、協力会社にグラフを渡しても動かせないことが多く、結局本社側で回すことになる。ここが標準化のボトルネックです。
個人的には、次の三段構えで整理したいと思ってます。ひとつめ、汎用性の高いグラフはPackage化して社内配布、担当者はパラメータだけ触る運用にする。ふたつめ、ダッシュボード用途はRevit外に出して、DynamoはCSV/JSONを吐くだけの役割に絞る。みっつめ、200ノードを超えるグラフはPython Scriptへの書き換えを検討する。ダッシュボード試作の記事は、この二番目の使い方の良い参考になりそうです。
導入ハードルとしては、教育コストが一番大きいと感じてます。ノード操作は覚えても、リストのレベル管理でつまずく人が多い。ここは動画マニュアルよりも、実際の業務データで一緒に組んでみる方が効きます。手間はかかりますが、遠回りが結果的に近道でした。
総括
今週はDynamoについて、「作れる」から「使い続けられる」への移行を意識させる週でした。500ノードの迷宮を作らないために、まず自分の手元のグラフを棚卸しするところから始めます。アーカイブ配信を見て、社内勉強会のネタを一本追加するのが直近の宿題。