月曜の朝、社内チャットに「今年の一級建築士学科、合格率26.2%だってさ」と先輩から一言。うちの設計部の若手も何人か受けていて、10月の設計製図に向けて残業を早めに切り上げている姿を見かけます。BIM推進の立場からすると、試験そのものより「試験制度が変わることで、これから入ってくる人材のスキルがどう変わるか」の方が気になります。今週流れてきた一級建築士関連のニュースを、ゼネコンのBIM担当として整理してみました。
今週の一級建築士まわりの動き
令和8年度学科試験、合格率26.2%で製図へ
一級建築士学科試験の合格率26.2% 10月に設計製図試験(新建ハウジング)によれば、学科の合格率は26.2%。ここ数年と大きく変わらない水準です。次は10月の設計製図。うちの受験組も、この時期は毎晩エスキス練習で消耗しています。手描きで6時間半の試験を戦うわけで、日常業務でRevitやArchicadに触っている若手ほど「線を引く体力」の違いに戸惑うと聞きます。
制度改正で在学中受験が解禁
建築士試験が変わる(1)在学中の受験解禁、影響は(建通新聞)では、学生のうちに受験できる仕組みへの移行が取り上げられています。実務経験を免許登録の要件に回す形で、受験だけなら在学中に済ませられる。新卒で入ってくる時点で学科合格済み、あるいは製図まで通っている人が今後増えていくはずです。
懲戒処分の公表
国土交通省|報道資料|一級建築士の懲戒処分についてでは、8月26日付で業務停止処分が出されたことが公表されました。中央建築士審査会の同意を得たうえでの処分で、資格の重さを改めて突きつけられます。BIMで図面が自動生成される時代でも、責任を負うのは人間の建築士だという当たり前の話です。
資格学校の解答例公開
総合資格学院 令和8年度2級建築士 設計製図試験 参考解答例(PR TIMES)と同趣旨のICT教育ニュース記事で、2級の解答例が無料公開されました。1級組も来月の製図に向けて、こういう資料を横目で見ることになります。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
在学中受験の解禁は、BIM推進の現場にとっては追い風になると思ってます。理由は単純で、学科合格を新人研修と重ねなくてよくなる年が増えるから。うちの部署では、入社1〜3年目の若手にBIMマネージャーの初歩を仕込みたいのに、学科の勉強でRevit研修を欠席する、みたいな衝突が毎年起きています。学生のうちに学科を片付けた新人が増えれば、入社直後からモデリングと属性設計の実務に時間を割ける。個人的にはこれが一番大きい。
一方で気になるのが、実務経験を積む前に資格を取った建築士が現場に出たとき、施工の納まりを知らないままBIMモデルを作り込んでしまう懸念です。うちの現場でも、意匠モデルの梁下がダクトルートと干渉して、協力会社との週次調整会議で数量が動く、なんてことは日常茶飯事。試験勉強で覚えた法規や計画と、実際の施工BIMの世界はやはり別物です。若手が資格だけ先に取ってしまうと、「図面は描ける、けど納まりが読めない」ギャップを、社内の教育で埋める必要が出てくる。ここは正直、今の研修体系のままだと厳しい気がしてます。
懲戒処分のニュースも、BIM標準化の話と地続きです。誰がどのモデルに責任を持つのか、社内テンプレートの承認フローに建築士の記名をどう組み込むか。ISO 19650でいうインフォメーションマネージャーの役割を、日本の建築士資格とどうすり合わせるか。まだ社内で明文化できていない部分で、来年度の標準改訂に向けて詰めたいところです。
まとめ
試験制度が変われば、5年後10年後に現場に立つ建築士の姿が変わる。BIMの標準化を進める側からすると、資格ルートの変化は人材要件の変化と直結します。10月の製図が終わったら、社内の合格者にヒアリングして、若手のBIM教育プログラムを一度見直そうかと考え中。まずは受験組の健闘を祈りつつ、自分は来週の協力会社会議で干渉チェックの詰めをやります。