先週、協力会社から送られてきたDWG図面を発注者側のGIS担当者へ渡したところ、「そのままQGISで開けない」と差し戻された。結局、地物ごとにレイヤを整理して座標系を合わせ直すのに半日つぶれた。こういう地味な変換作業、まだ全然無くならないなと思ってた矢先に、今週はAutoCAD周りで面白い記事がいくつか出ていたので拾っておきます。
今週のトピック
1. DWGをGeoPackageへ変換する自作Docker環境
CADとGISをつなぐ ── LibreDWG × GDALでDWGをQGIS / ArcGIS Pro対応GeoPackageへ変換する【v0.3.4 改訂版】では、GNU LibreDWGとGDALをDockerで組み合わせて、DWGをGeoPackage化する手順が紹介されていました。河川図、道路図、施設台帳、測量図といった、まさに土木・インフラ系の現場で溜まっているデータが対象。
ゼネコンでも造成計画や外構、既存インフラの重ね合わせでGIS側にデータを渡す場面はそこそこあります。有償の変換ツールを使わずに、コンテナ一つで回せるのは検証用途として現実的だと感じました。
2. Claude Codeで機械図面を自動作図
【2026年】図面はAIで作成できる?Claude Codeで作図自動化の未来が見えたは、機械部品(フランジ類)を条件指定でAIに描かせた話。外径・内径・厚み・穴径・穴数を渡すと、A3横のフォーマットに図枠・検図欄まで整えて出してきたとのこと。
2024年時点のChatGPTでは類似図面生成が難しかったのが、今はすんなり通るようになったという記述が印象的でした。建築の意匠図はまだ厳しいと思ってますが、標準納まりや金物の展開図あたりは、案外近いうちに叩き台をAIに出させる運用が来る気がしてます。
3. Revit/AutoCAD/Navisworks/InventorをつなぐMCPサーバ
MCP bimwright для Revit, AutoCAD, Navisworks и Inventorは、Anthropic発のMCP(Model Context Protocol)をBIM/CADツール群に橋渡しする試み。ロシア語記事で詳細は追いきれてないですが、Revitに対する rvt-mcp が挙がっていて、LLMから各アプリを操作する土台が動き始めているのが分かります。
Dynamoスクリプトを書くよりも、自然言語で「この壁の下地を全部拾って集計」みたいな指示が通るなら、社内のBIM推進担当としては教育コストが一気に下がる可能性があります。
4. 中国の脱Windowsが引きずるレガシーCAD問題
中国の「脱Windows」で苦悩する現場のエンジニアでは、中国産OSへの移行で古い業務ソフトやIE専用システムが動かないという現場の悲鳴が紹介されていました。日本のゼネコン業界も他人事ではなくて、20年前のAutoCAD LT用カスタマイズがまだ現役の協力会社は普通にいます。
ゼネコンBIM担当としての考察
今週の記事群を並べて眺めていて、AutoCADを取り巻く周辺が「変換」と「AI操作」の2軸で動いている感覚がありました。うちの社内標準化に引きつけて考えると、優先度が高いのは1つ目のDWG→GeoPackage変換だと思ってます。
理由は単純で、発注者(特に自治体案件)からGISでのデータ提出を求められるケースが増えていて、その都度、意匠・設備の担当が手作業でレイヤ整理をしている。ここをDocker化した変換パイプラインに乗せられれば、社内標準テンプレの「レイヤ命名規則」と直結させて、命名が守られていない図面は変換時にエラーで弾く、といった品質チェックの仕組みに転用できそう。テンプレを守らせるための強制力として使える点が、標準化担当としては地味に嬉しいところです。
一方でMCPやClaude Codeによる自動作図は、まだ検証段階に置きたい。理由は責任分界です。AIが生成した図面のミスを誰が拾うのか、検図フローに組み込む前に整理しないと、若手が「AIが描いたので」と言い訳する温床になりかねない。個人的にはまず社内ライブラリの検索インターフェースとしてMCPを試したいと思ってます。「S造の標準納まり詳細を出して」でDWGブロックが引っ張れるだけでも、若手の作図速度は変わるはず。
導入ハードルとして残るのは、やっぱり協力会社側の環境。うちが最新のパイプラインを組んでも、図面が上がってくる時点でレイヤが崩れていたら意味がない。ここは技術より契約と教育の話になります。
まとめ
AutoCADは「置き換えられる対象」ではなく、周辺のGISやAIとどう繋ぐかの結節点として今も動いている。来週、まずDWG→GeoPackageの手順を自分のローカルで試してみます。うまく動いたら、次の社内BIM推進会議のネタに持っていくつもり。