今週、一級建築士まわりの記事をざっと流し見していて、BIM推進の立場で引っかかるものがいくつかあった。士業の実務漫画、学科試験の対策イベント、バリアフリー設計の寸法まわり。直接BIMと紐づく記事はほぼないのだが、むしろそこに自分の仕事との接点が見えてきた。社内でRevitテンプレを配っている身からすると、「一級建築士が何を考えて図面を引いているか」を掴み直すのは、標準化の精度に直結する話だ。
今週拾った3つの記事
設計事務所の立ち上げと管理建築士という視点
第45話 設計事務所を作るには?:管理建築士 – 鬼ノ仁 | ゴラクうぇぶは、青森から上京した主人公が7年間の設計事務所勤務を経て独立する話の第45話。管理建築士の要件や事務所登録の実務が物語に組み込まれている。普段ゼネコンの中にいると、設計事務所側の登録制度や管理建築士の責任範囲を忘れがちだが、協力設計事務所と業務委託契約を結ぶ際に効いてくる話でもある。
学科試験のオンラインイベントと試験構造の整理
資格学校TACが10月14日に無料のオンラインイベントを開くという告知がPR TIMESの記事で流れていた。実例問題100問を公開するらしい。あわせてYouTube解説「学科試験の全体像|5科目125問・足切りと合格点」も出ていて、令和9年受験に向けた準備が動き出している。社内でも学科挑戦中の若手が数人いて、学科の計画・環境・法規・構造・施工のうち、特に法規と施工は実務経験との紐づけが効くと聞いている。
車椅子対応の寸法とバリアフリー設計
車椅子で暮らす家は、廊下の幅や回転するにはどの位のスペースがいる?では、車椅子で回転するのに必要な寸法や廊下幅の具体値が整理されている。住宅系の話だが、公共建築や病院・高齢者施設を扱うときにそのまま効く寸法感覚だ。Revitで干渉チェックを回すときに、こうした人の動線寸法をファミリ側に落とし込んでおくと、意匠と設備の調整がだいぶ楽になる。
ゼネコンBIM担当として考えたこと
学科試験の施工分野と、自分がやっているBIM標準化の作業は、実はかなり近い場所にある。施工計画・工程・積算・法規チェック。学科で問われる知識は、そのままBIMモデルから拾いたい情報の一覧でもある。社内の若手が学科を勉強しているとき、「この問題、Revitの数量集計で自動化できるね」と話題になることが増えた。たとえば面積区画の算定、採光・排煙の有効面積、仕上げ数量。手計算で覚える前に、モデルから出す仕組みを作っておけば、現場に出た後の確認時間が削れる。
一方で、管理建築士の話は社内標準化とは別の重みがある。協力設計事務所にBIMモデルの作成を委託する際、誰が最終責任を持つのか、モデルの改変権限はどこまで渡すのか。契約書と標準化ルールの両方を整えないと、後工程で揉める。うちでも先月、意匠事務所から受領したモデルの通り芯が構造モデルとズレていて、擦り合わせに半日かかった。モデル受け渡しのルールを作っても、相手側の管理建築士がBIMに明るくないと、結局担当者レベルの話で終わる。制度と実務のギャップは、まだ埋まっていない。
車椅子の寸法記事を読んで思ったのは、こういう「設計の前提になる人の寸法」こそ、社内ライブラリにまとめておくべきだということ。有効幅員750mm、回転スペース1500mm径といった数字をファミリのパラメータに紐づけて、自動チェックが走るようにしたい。まだ試せていないが、Dynamoで動線幅を自動判定するフローは組めそうな気がしている。病院案件を担当している先輩に当たってみようと思う。
まとめ
一級建築士の学習内容も、設計事務所の制度も、バリアフリーの寸法も、BIM担当の自分からは一歩引いた話に見える。ただ、標準化を進めるときに本当に効くのは、こうした「設計者が頭の中で何を参照しているか」の解像を上げる作業だったりする。来週は社内のBIMテンプレに、法規チェック用のビューをいくつか追加してみる。学科勉強中の後輩に見せて、反応を聞いてみたい。