月曜の朝、協力会社の設備担当から「IFCで渡してもらったモデル、属性が落ちてる」と連絡が来た。先週に続いて2回目。社内の一貫BIMを掲げてArchicadの運用ルールを整備している最中だが、こういう小さな齟齬が積み重なると、現場は「結局2D図面でいいじゃん」に戻ってしまう。そんな折に目に入ったのが、今週公開されたArchicadユーザー会の記事だった。
今週のArchicad関連トピック
USERFEST2026レポート:ユーザー同士が「輪」を広げるとは何か
Archicadユーザー会「USERFEST2026」レポート 実行委員が語ったBIM仲間の輪を広げるコツ(ITmedia)では、ユーザー会の実行委員がイベント運営を通じて得た知見を語っている。注目したのは、ベンダー主導のセミナーとは別軸で、ユーザー自身が運営する場がどう機能しているかという点。設計事務所、組織設計、ゼネコン、工務店と立場の違う人が同じテーブルで「テンプレートの作り方」や「属性運用の悩み」を共有する場は、ベンダーのセミナーでは出てこない具体的な現場の情報が流れる。失敗事例や「このバージョンでここが使いにくい」といった、公式の資料には載らない話だ。
記事内で触れられていた「仲間の輪を広げるコツ」は、要するに運営者側の負担を下げる工夫と、参加者が手ぶらで来ても何か持ち帰れる設計にすること、と読んだ。社内のBIM推進でも同じ構造の悩みがある。
その他、今週の周辺動向
今週のフィードを見渡すと、Archicad本体の機能アップデートに関する大きなニュースは目立たなかった。dev.toには開発系の記事(ポートフォリオサイトの話、LLMのGemma 4の推論性能比較など)が並んでいたが、Archicadとの直接の関連は薄い。ただ、BIM担当として気にしておきたいのは、設計レビューや干渉チェックの自動化にLLMをどう組み込むかという周辺の流れ。来年度あたり、ArchicadのAPIと生成AIを組み合わせた属性チェック自動化のネタがユーザー会でも出てくると個人的には予想している。
ゼネコンBIM担当としての独自考察
社内標準化とユーザーコミュニティは分けて考えたい
USERFEST2026のレポートを読んで、まず思ったのは「社外コミュニティと社内標準化は目的が違う」ということ。社外のユーザー会は多様な使い方の交換が価値になる。一方で社内標準化は、属性セット・レイヤー命名・テンプレートを一本化して、誰がモデルを作っても積算と施工管理に流せる状態にするのが目的。この二つを混ぜると、「他社ではこうやってる」という話に引きずられて社内ルールがブレる。
うちの推進チームでも、他社事例の収集が目的化しかけた時期があった。今は「社外から持ち帰る情報は、社内標準の改訂根拠として使う場合だけ採用する」というルールにしている。この線引きがないと、現場の設計担当が混乱する。
協力会社との連携で効くのはテンプレートの配布
冒頭に書いた属性落ちの件に戻ると、根本原因はIFC変換設定の違いだった。協力会社ごとにArchicadのバージョンもテンプレートもバラバラ。これを「ユーザー会で情報交換しましょう」で解決するのは無理がある。社内で用意したIFC書き出しテンプレートを配布して、協力会社にも強制的に使ってもらう方が早い。
USERFEST2026のような場は、むしろテンプレート配布を受け入れてくれる協力会社の担当者と知り合う機会として使うのが現実的だと思ってる。コミュニティで顔を知った相手なら「このテンプレ使ってください」が通りやすい。
導入ハードルの実感
社内でArchicad運用を広げる上で一番きついのは、ソフト代でも研修コストでもなく、既存の2D設計プロセスに最適化された積算部門の業務フローを変えること。モデルから数量を拾う運用に切り替えると、積算担当は検証作業が増える(最初のうちは拾い直しを並行する)。ここで「BIMの方が遅いじゃないか」と言われて止まるケースを他社でも聞く。
ユーザー会で聞いた話を社内に持ち込むときも、積算・施工部門が納得する数字(工数削減の実測値など)とセットにしないと通らない。これはまだ自分も試行錯誤中。
総括
今週は機能アップデート系の派手なニュースはなかったが、USERFEST2026のレポートはコミュニティ運営のヒントとして拾う価値があった。社内の次のアクションとしては、来月の協力会社向けBIM勉強会で、IFC書き出しテンプレートの配布と使い方デモをやる予定。ユーザー会で見聞きした「手ぶらで来ても持ち帰れる設計」を、社内版でも試してみようと思ってます。